月刊誌『安心』1月号掲載記事
股関節痛の85%は筋肉のこりや疲れが原因で股関節ほぐしで改善できる
東京銀座 LE SALON GINZA 院長
理学療法士 松本正彦
私は理学療法士として28年間、変形股関節症に携わってきました。そしてこれまでの経験から、股関節痛の原因の85%は、変形した骨ではなく筋肉にあると考えています。
1986年に行われたアメリカのマイアミ医科大学疼痛センターにおける調査でも、痛みを訴える患者の85%は、筋肉の病気である”筋・筋膜症候群”であるとの結果が出ています。
しかし、日本では、筋肉の病気に関して、まだほとんど知られていません。「股関節症の痛みは、変形した骨がこすれることで生じる」と思っている方が、多いのではないでしょうか。
そもそも痛みは神経の通っていない場所では生じません。そして神経は骨にも軟骨ににも通っていないのです。こういうと「骨折時の激痛はなんなのだ」と思われる方もいるでしょう。骨折のさいの痛みは、骨を包む骨膜からきています。骨膜には神経が通っています。しかし、関節には、骨膜がありません。
もし、変形股関節症における股関節の痛みが、変形した骨からくるものであれば、骨の変形が進めば進むほど、必ず痛みが強くなるはずです。しかし、実際には変形が進んだ進行期であっても、ほとんど痛みを感じない人もいます。反対に、さほど変形していない前期でも、激痛に苦しむ人がいるのです。
変形股関節症の股関節は、屋根(寛骨臼)の被り方が浅いなど不安定な状態にあります。この状態を安定させるために、股関節周辺の筋肉は、つねにグッと締めつけられています。
ですからこれらの筋肉は疲労がたまりやすいのです。疲労が強くなれば、痛みやこりが生じます。これが続くと、筋肉が病気になった状態といえます。
股関節痛をやわらげるため、何らかの体操やトレーニングに励んでいる方は少なくないでしょう。しかし、私は筋肉の病気を治すことを優先すべきだと考えます。病気の筋肉をトレーニングすることは病気を悪化させる可能性が高いのです。
股関節痛における痛みの原因は、関節にたまったセロトニンという物質にあります。筋肉を適切にもみほぐしてセロトニンを押し流してやれば、痛みはやがておさまるはずです。
平成10年に私が担当した変形股関節症の患者さんの例をご紹介しましょう。
当時40代半ばの彼女は、変形股関節症の初期でした。しかし小殿筋に激痛があり、車イスでの生活を余儀なくされていたのです。そこで、週に二回、筋肉をもみほぐしたところ、一ヶ月後には杖をつかって、一人で歩けるようになりました。歩けるようになったことで筋肉は強くなり、現在は杖なしで歩けるまでに回復しています。
同じ変形股関節症であっても、痛む筋肉は人によって異なります。腰や太もも、ひざが痛むという人も少なくありません。これはこり固まった筋肉が引っ張られるために生じる痛みです。このような場合、こりをほぐせば、痛みはやわらぎます。痛みがなくなると動けるようになるので、それだけで筋力は強くなります。
そこでお勧めしたいのが「股関節ほぐし」です(やり方は写真参照)。4〜5日も続ければ、痛みがやわらいだり、こりが取れたりしてくるはずです。
画面をクリックすると拡大して見ることが出来ます。

『安心』1月号より抜粋
|